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その間には天候によって豊作、不作が左右されることになるのは今も昔も変わらない。
穀物を生産する農家としては豊作の時でも在庫を抱えることなく安定して売りたいと考える。
反対に不作で値段が高い時には少しでも高く売りたいと考える。
一方、穀物を使って商品を作る食品メーカーは少しでも安く買いたいと考えるし、あるいは安い値段が付いている時に買う契約をしておきたい、とも考える。
収穫期だけではなく、-年を通して安定して穀物を売りたい農家。
同じくI年を通して安定して穀物を買いたい食品メーカー。
数ヶ月先の取引契約を今結んでおくのが先物取引というシステムだ。

売るほうは半年後に値段がいくら安くなっていようと約束した値段で売れる。
買うほうは同じく、半年後にどんなに値段が上がっていようと約束した値段で買うことができる。
売り手と買い手の利害が見事に一致してリスクを回避できるのが先物取引の発達した理由なのである。
この先物取引が近代的に発達したのはシカゴであるが、発祥の地は1730年の大阪堂島で、米の売り手と買い手が集まって取引されたのが始まりとされている。
今では世界経済や社会生活に欠かせない先物取引のル−ツは大阪商人だったのだ。
穀物を制する者は世界を制するこんな話をすると「トウモロコシを食うと歯に刺さるから嫌いだ。
関係ない」って人もいるかも知れないが、それらを直接には食べない人でも料理をする上で欠かせない食物油は間接的に口にする。
また、それらの穀物を餌にしている牛、豚、鶏等は食べるだろう。
焼肉だけでなくハンバーガーやブライドチキンだって元は大豆にトウモロコシなのである。
食物連鎖の頂点に立つ人間がいなくなっても穀物達は困らないだろうが、食物連鎖の底辺にある穀物がなくなると人類は滅亡する。
穀物を制する者は世界を制するのである。
ご存知のように日本の食糧自給率は約却%くらいである。
その中で大豆、トウモロコシ、小麦等の約卯%は輸入に頼っている。
今あなたが口に運ぼうとしている納豆や豆腐の原料もシカゴで取引されてミシシッピ−川で運ばれ、はるばる太平洋を渡ってやって来た大豆から作られている可能性が高いのである。
粗糖やコーヒーにしても作っている地域は違っても同じことでこれらの商品がなくなると世界中はパニックになる。
2007年4月からは、自動車の燃料としてガソリンを補うためにエタノ−ルが注目されているが、このエタノ−ルの原料はトウモロコシやサトウキビが大半である。
ここにも穀物が世界を制する仕組みが見えてくる。
始めに書いた教授の話は、大豆の空売りをすることで値段の動きや現物の動き、またそのシステムを真剣に勉強することになる。
真剣に勉強しなければ有り金をなくす羽目になるからだ。
商品先物取引のシステムは後で詳しく説明するとして、次はこれも生活に欠かせない原油についても知っておこう。
テレビのニュースで「原油価格が1バーレルドルをつけて湾岸危機以来の高値である」とか耳にされた方も多いだろう。
これはNYの商品取引所(以下NYMEX)での値段のことで1バーレルとは159リッターである。

NYMEXで取引されている原油とはWTI(ウエスト・テキサス・インターミデイエット)と言ってアメリカで採掘されてアメリカで消費されている。
オレたちには大して関係のない原油なのだ。
一方、日本で消費される原油のほとんどが中東ドパイ産の原油である。
原油価格が上がるとオレ達の生活に及ぼす影響が大きいのも皆さんよくご存知だと思うが、ニュースで報道されているNYMEXの原油と日本の原油は別の物だと覚えておこう。
では、なぜNYMEXの原油ばかりが伝えられるのかと言うと、取引量も多くまた歴史も古いためにNYMEXの価格が世界の指標になっているからである。
サダム・フセインが暴走を始める卯年の湾岸危機前は1バーレル・却ドル辺りで取引されていた原油であるが、最近は印ドルを挟んで(2007春)行ったり来たりしている。
相場用語ではこのような状態を「往って来い」と言う。
なぜ、こんなに高くなったのか?と言えば原因はいくつもある。
産油国の政情不安(地政学リスクとも言う)、中国の経済成長であるとかOPECの台所事情等、様々な要因が重なり合って値段が上下する。
また大量に流れ込んだり逃げ出したりする投機資金も価格形成の大きな要因の一つである。
おまけに原油は各国の経済にも大きな影響を及ぼすために政治的な問題が絡んでくるからやっかいだ。
しかし穀物の動き同様、原油の動きに目を凝らすことは経済の勉強をする上でこの上ない教材だ。
生活に欠かせない国際商品が動くシステムを知ることは、得になっても損になることはない。
原油がこれだけ高くなると頭を痛めるのがやはりガソリンの値上げだろう。
ここで商品には「見えざる神の手」と呼ばれるものが働くことがある。
それは「価格高沸による需要の減退」である。
簡単に書けば「こんなにガソリンが高いのであれば週1回のドライブはやめよう。
行ったとしても近くにしよう」あるいは「ガソリンが値下がりするまでは満タンにするのは止めよう」と世界中の人が考えれば価格が正常に収まっていく側面がある。
これを市場では「見えざる神の手」と呼んだりする。
また、行き過ぎた値段が急に引き戻された時なども「神の手が働いた」って呼んだりする。
誰が命名したのかしらないが上手いことを言うもんだ。
ちなみにオレの場合、ガソリンはクレジットカードで入れるようにしている。
カードで注いだほうが112円安くなるからだ。
また、ガソリン価格は月によって値段が変わることが多い。
新聞をよく読んでいると、来月から値段が上がるとか下がるとか書いてある。
そんな時は、来月から上がるのであれば今のうちに満タンにしておく。
反対に下がるのであればケチケチ走りで節約して月が変わってから注ぐようにしている。
家電製品などは壊れて使い物にならない限り買い替えなどしない。
新製品など見向きもしない実にケチな男である。
時々自分で思うことがある。
世の中が皆オレみたいなケチばかりだと「トヨタもソニーも倒産するな」と。
こうして考えてみると、もし仮に日本が鎖固なんてことをしでかすと国民の多くが飢え死にするという大変な事態になる。
生き残ることができるのは「MY穀物」を生産できる一部の農家だけで、他の人間は飢え死にするか、海外に逃げるか、それとも穀物泥棒になるか。
想像しただけでも恐ろしい。
-T企業や投資ファンドがなくなったって関係する人達が困るだけだが、農家がなくなると多くの人が困ることになる。
農家の人には敬意を表そう。

さて、海外で生産されて各国の取引所を経て輸入され、消費される商品の重要性は理解していただけたと思う。
商品先物取引のシステムは価格形成にはなくてはならない存在であり、高度な経済取引なのであるが、日本でのイメージは非常に悪い。
それは、高いレパレッジ(前に説明した挺子の原理)と商品取引会社のいい加減で出鱈目で悪徳な勧誘方法にある。
まず、高いレバレッジを「金」を例にとって話してみる。
現在1キログラムの金が200万円だとしよう。
現物の金を取引しようと思えば200万の現金が必要になるが、先物取引を使えば数万の証拠金を預ければ200万の金取引に参加することができる。
数万の金で200万のものを動かす。
これがレパレッジである。
株の信用取引に似ているが少しだけ仕組みが違う。
金取引の倍率は1000倍だ。

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